今回は、昭和の時代から、日本のピアノ教室で、使われ続けて来た『バイエル』について、書いてみようと思います。

バイエルの概要

「バイエル」は、作曲家の名前です^_^知らない人も多いのでは、と思います。
ドイツの作曲家、ピアノ教師で、出版社の専属作家として、小品を多数書いたそうです。
いわゆる「ピアノ教則本」は、初歩向けの教材として出版されました。
日本には、なんと明治時代に紹介されたんだそうです‼︎

私が子供の頃の昭和の時代には、初めてピアノを習うと、必ず「バイエル」から始めたものです。
定番中の定番でした。
フランスの「メトード・ローズ」もあることはありましたが、やっぱりとりあえずバイエルって感じでしたね。

昔は、一番ポピュラーだったのは、全音楽譜出版社から出ている「子供のバイエル」赤本、黄本でした。
昔は、それしかやらなかったので、ピアノを習っている友だち同士で、「今バイエルの何番をやっている?」などと会話したものです。

バイエルの問題点

自分が習っていた時は、わからなかったのですが、バイエルには、少なからず問題点があります。

まず、赤本(上巻)ですが、始めに出てくる音が、二点ハ、つまり真ん中のドではなく、1オクターブ上のドから出てきます。
これは、五線譜の場所としては、とても覚えにくい場所で、小さい子供にとっては、難しい場所なんですね。
この場所から覚えろ!と言っても、なかなか覚えられないんじゃないかなぁ。

最近は、ミドルCと言って、真ん中のドから教える教本が主流です。
今までたくさんの子供を教えて来ましたが、真ん中のドは、ピアノをやったことがない初めての体験レッスンでも、絶対覚えて帰ってくれます!
音符に横棒がついているし、ト音記号の五線譜の一番下の線の下がドの場所なので、わかりやすいですね。

上巻は、これが一番のネックだと思います。
そして、下巻に入るまで、ヘ音記号がまったく出て来ない‼︎
かなり弾く練習ができてても、ヘ音記号が読めないことになってしまいます。
大問題ですね!

また、右手がメロディ、左手が伴奏という形がほとんどで、ワンパターンです。
そして、調性が偏っていて、限られた調性しか使っていません。
さらに、全部で106番まであり、曲の数に圧倒されてしまいます!

 

色々問題点はあるけれど使えるよ‼︎

このように書くと、問題点だらけじゃないか‼︎と思われてしまいますね。
実際、最近は、バイエルはあまり使われていません。
ミドルCのありとあらゆる教本があり、私もそれらを使うことが多いです。

私は、赤本(上巻)を使うことはほとんどありませんが、(上記の問題点のため)黄本(下巻)は、「使える」と思っています。

古典に通じる伴奏形、和音、または和音の分散、アルベルティバス(ドソミソ、シソレソ)などがたくさん出て来て、その習得には、効果的だと思うからです。
右手がメロディ、左手が伴奏とはっきり分かれているので、メロディの練習としてだけではなく、それを支える伴奏形の練習として使うと、ソナチネなどの形式がきっちりと決められて、きちんと弾かなくてはいけない曲の準備になると思うのです。
昔は、ぜーんぶすみからすみまで弾きましたが、今はそうではなくて、習得できると良い、と思われる曲をピックアップして使う、というのがいいのではないかと思っています。

60番はメロディのおいかけっこ

ワンパターンのバイエルにも例外があります。
60番です。
「カノン」という形で、メロディが右手と左手でおいかけっこをしています。
ほとんどのバイエルでは、メロディと伴奏、とまったく違う動きを同時に弾いていましたが、カノンは、伴奏がなく、メロディがずれて行くので、ちょっと戸惑いますね。
それぞれの手の横の流れを、たくさん練習して、それぞれの動きをわかってから、両手を合わせていかないと、うまく弾けません。
不器用さんにとっては、ちょっと難関かもしれませんね。

カノンが弾けると、バッハなどのバロック様式の準備になるので、是非習得できるといいと思います。

バイエルの100番台をクリアできると、次のレベルの曲にスムーズに入れます

80番台くらいから、曲のボリュームが大きめになってきます。
曲らしくなる、という感じです。

終盤の100、102、104、105、106番は、内容も長さも難易度が高く、最後まで弾き切るのは難しいです。
ここをクリアできると、次のレベル、ブルクミュラーの最初の方などは、楽勝で弾けると思います。
最後の106番の半音階などは、音符を読むのも、指づかいを見るのもたーいへん!
かなりの高レベルです!

保育士や教員免許の試験には使われています

いまだに、保育士や教員免許の実技試験には、バイエルは使われています。
子供の頃には、ピアノを習っていなかったけど、資格のために、と大人になってから苦労して習っている方もいらっしゃいます。

やはり、子供の頃に、少しでも楽譜を読んで両手で弾く習慣をつけていると、違いますよね。

たかがバイエル、されどバイエル、なんです。
今でも、いろんな出版社からものすごい数の「バイエル」の楽譜が出ていますから、やっぱりベストセラーなんですね。

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